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相田しおりの話はこうだった。
帰りが遅くなったため近道をしようと、痴漢通りと呼ばれるあの道を通った。
単なる噂だと思っていたし、すぐに抜けられるだろうと思っていた。
実際に優れた近道でもあり、しかもすぐに道を抜けることができた。
しかし、道を出たところで後ろから頭を殴られたらしい。意識がもうろうとするなか、体を引きづられる感覚があったという。
そこに人がたまたま通りかかり、驚いた痴漢(?)は相田しおりを放し、逃げたらしい。
幸い軽い打撲とすり傷ですんだ相田しおりは、病院で検査の後、数日の自宅療養となった。
襲われたのがあの道をでた後だったため助かった、ということだった。
「なんだか、元気そうで良かった」
「そうですね。だから何も、お嬢さんが気に病むことはないと言ったのに」
相田しおりの家から帰る途中、アルジャーノがカバンから顔を出していった。
「アルジャーノさん寝てたでしょ」
「失礼な。うとうとしてただけです。ちゃんとカバンを開けてくれと合図したでしょうに」
「その前に声かけたもん。しかも、あんなにモゾモゾ動くからばれるかと思った」
「まぁ、なんにせよ良かったじゃないですか」
「そうだね、すっきりしたし。付いてきてくれてありがとう」
少女はアルジャーノに頭を下げた。
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