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アルジャーノが毛繕いを中断し、少女を見上げた。
そして、目を細めながら言った。
「お嬢さん、私に見惚れるのは構いませんがね…………そのニヤけた顔は不気味ですよ? 」
「えっ、あっ、失礼しました」
少女は我に帰ると、あわてて謝った。自分がどんな顔をしていたのか想像すると、すごく恥ずかしくなった。
いそいそとアルジャーノの隣に座って顔を伏せた。
その様子をアルジャーノはじっと見ていた。
不気味って、そんなにひどい顔だったのかなぁ。嗚呼、アルジャーノさんをよこしまな目で見てたわけじゃないのにぃ~~。
恥ずかしいしショックだよ。
「ふっ、お嬢さん、何も謝ることはないのに………ぷっ」
「えっ、アルジャーノさん笑ってる!? 」
「失礼失礼。あまりにも綺麗なお辞儀をなさるし、その後の落ち込んだ顔が…………ぷふっ」
「笑われたぁ~~!! 」
「いえいえ、笑ってなど……くふっ」
「いや、笑ってるって」
「しかし、お嬢さんを馬鹿にしてる訳ではないのですよ。……嗚呼、おさまった」
「どう見ても、馬鹿にして大笑いしてたように思うんだけど…………おさまったって。ひどいなぁ」
「馬鹿になどしていませんよ。ただ………」
「ただ? 」
「落ち込んだ顔が………気に入ってしまって」
そういったアルジャーノは、また今にも笑い出しそうであった。
「気に入ったって………アルジャーノさん……」
喋る上に、意地悪嗜好な猫だなんて。
でも、笑ってる姿もかわいいっ!!
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