公園でこんにちは

3/10
前へ
/55ページ
次へ
「おやおや、私は何もしていませんよ。お嬢さんにお伝えしたいことがあって呼び止めました」 震えている少女を余所に、声はつづけてきた。 「お嬢さん、そっちに行かないほうがいい。今日は日が悪い。 明日にするといい。もし、どうしてもと言うのならご一緒しましょう? 」 少女はやっとの思いで振り向くことができた。振り向かずに走って逃げようとおもったが、しなかった。 かけられる声が、穏やかで優しいものであることに気が付いたから。体の震えはいつの間にかおさまっていた。 しかし、振り向いた先には誰もおらず、すぐ近くの街灯の下に小さな生き物が座っていた。 「あれ? 」 少女は辺りを見回してみたが、やはり街灯の灯りの下に座る生き物しか、公園にはいないようだ。 「あなたが喋ったの? ……………まさかね」 少女は、生き物に近づいていった。それは、真っ白い猫だった。街灯の明かりでオレンジ色に見えるが、確かに白い。 「猫さんが喋ったの? 」 「お嬢さん、私は猫さんじゃあない。ディープ・アルジャーノといいます」 「っ!!! 」 「お嬢さん? 」 「喋ってる、ネコがシャベッテイル」 「おやおや、猫だって喋りますよ? 」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加