2人が本棚に入れています
本棚に追加
「おやおや、私は何もしていませんよ。お嬢さんにお伝えしたいことがあって呼び止めました」
震えている少女を余所に、声はつづけてきた。
「お嬢さん、そっちに行かないほうがいい。今日は日が悪い。
明日にするといい。もし、どうしてもと言うのならご一緒しましょう? 」
少女はやっとの思いで振り向くことができた。振り向かずに走って逃げようとおもったが、しなかった。
かけられる声が、穏やかで優しいものであることに気が付いたから。体の震えはいつの間にかおさまっていた。
しかし、振り向いた先には誰もおらず、すぐ近くの街灯の下に小さな生き物が座っていた。
「あれ? 」
少女は辺りを見回してみたが、やはり街灯の灯りの下に座る生き物しか、公園にはいないようだ。
「あなたが喋ったの?
……………まさかね」
少女は、生き物に近づいていった。それは、真っ白い猫だった。街灯の明かりでオレンジ色に見えるが、確かに白い。
「猫さんが喋ったの? 」
「お嬢さん、私は猫さんじゃあない。ディープ・アルジャーノといいます」
「っ!!! 」
「お嬢さん? 」
「喋ってる、ネコがシャベッテイル」
「おやおや、猫だって喋りますよ? 」
最初のコメントを投稿しよう!