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あの日以来、三日ほど少女はアルジャーノとは会っていなかった。少女が会いたいと思っても、アルジャーノの居場所がわからないのだ。会う約束をすれば良かったと、少女は後悔している。
今日、学校では例の痴漢事件についての朝会が開かれている。全校生徒が狭苦しく、体育館に整列させられていた。
少女はというと、列の真ん中辺りで物思いにふけっており、先生方の話など耳に入っていないようだ。
「こわ~、おちおち外出もできないよ。ね、暁? 」
「…………」
「暁?ちょっと、暁!! 」
「ん、なに!? 」
「もうっ!!最近あんた変だよ。タコみたいな顔してずっと唸ったり、急に泣きそうになったり。なんかあったの? 」
少女は友人にそう聞かれて、この三日間を思いだしてみた。確かに、ずっとアルジャーノのことを考えて、モヤモヤしたりぐるぐるしたりしていた。
「見てて変だった? 」
少女は小声で、友人である恭子に尋ねてみた。
「そうとうね。ねぇ、何か悩んでるの? 」
「う~ん、何に悩んでるのか悩んでる」
「はぁ?ワケ分かんないんだけど」
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