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「お嬢さんは自分が助かって良かったと、あの道を通らなくて良かったと思えばよいのでは? 」
「でも、襲われたのは私のクラスメートで…………ひとごとじゃないってゆうか」
アルジャーノは、真っ直ぐ前を見つめながら少女の話を聞いていた。
「では、そのクラスメートの所に行きましょうか」
「ええっ!! 」
「モヤモヤするのなら会ってみましょう」
結局、少女はアルジャーノと一緒にクラスメートを訪ねることになった。
アルジャーノは見つかるといけないので、カバンの中に入ることになった。
「アルジャーノさん、苦しくない? 」
「ええ、大丈夫ですよ」
カバンの中でモゾモゾしているらしいアルジャーノ。カバンに入ることに抵抗したわりに、中が気に入っているらしい。
「お嬢さん、ついたら注意して少しカバンを開けてくださいね」
「うん。毛を挟まないように気を付けます」
カバンに話しかけながら歩いてゆくと、クラスメートの家に着いた。
ピンポーン。少女はためらいがちにインターホンを押した。
な、なんて言おう。
相田さんとは1、2回しか喋ったことないし。
しかも、事件のすぐ後に会いに行くとか………無理があるよな。
しばらくして、母親らしき人がでてきた。クラスメートのことが心配できたと話したところ、すんなり部屋へ上げてくれた。
母親は少し疲れた様子で、目の下にくまが広がっていた。
「アルジャーノさん着いたよ。アルジャーノさん? 」
「…………」
「ちょ、ちょっと、アルジャーノさんっ!! 」
少女は母親について階段を登りながら、カバンに呼び掛けた。
小声で必死によびかけてみるも返事はない。
「しおり、クラスのお友達がお見舞いに来てくれたわよ。しおり」
「えっと、北原です。相田さんお見舞いに来たんだけど………」
母親と少女が扉の前で待つこと数秒。ガチャリ。
鍵の開く音が聞こえた。
「入って」
澄んだ小さな声が聞こえてきた。そっと中に入ると、パジャマ姿の彼女が迎えてくれた。
「あの………相田さん起きて大丈夫なの? 」
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