処刑人のブラリ旅は、あの雪の日から

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魔王によって親友の村が消され‥親友が人間でなくなった。魔王を愛してしまった唯一の妹が魔女裁判で殺され、それを見た魔王が人間に復讐を始めた。 自分が何としても止めたかった‥憎しみと怒りに任せても。勝ったのに、復讐出来たハズなのに‥‥全然嬉しくない。むしろ哀しくて虚しいだけだ。 あの男と戦ってみて分かった、彼は‥本当に妹を愛してくれていたのだと。だからきっと、自分が勝っても辛いのだ。 封印に使った短刀を鞘に納め、朱雀は一破に視線を向ける。 「ありがとうございます、一破‥この戦いを見届けてくれて。貴方がいなかったら、魔王の居場所は分からなかった。でも良いのですか?反逆になってしまいますし、本来なら貴方の仕事なんでしょう?」 『処刑人』とは罪を犯した悪魔や魔族を処刑する死刑執行人。魔王や魔族の命令か、自身の判断で処刑を行える権限を持つ。 それが魔王であろうとも‥彼には通用しない。処刑人には、命令に従わなくて良い拒否権も与えられている。 魔王よりも、ある意味高い地位にいるが‥相手が誰であろうと一度殺すと決めた標的は、必ず殺さなくてはならない‥というマイナスな部分もある。魔王と一破の、信頼関係は厚かった‥。友と呼べる関係に近かったのだ。 「別に構わねぇよ、今回は魔界からの命令じゃなかったからな‥むしろ俺が殺せって命令されてたのは、アンタの妹だったんだぜ?」 一破の発言に、朱雀は驚いたかのように目を見開いた。
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