第一章

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第一章

「その色好きなの?水色。良く似合ってるね。」 藍は驚いて声のした方を見た。 「何?そんな驚いた顔して。俺の顔になんか付いてる?」 そう言うと、男は不思議そうに笑った。 声を掛けられて、藍は初めてその男が隣にいた事に気付いたように眼を向けた。 いかにも仕事の出来る男という感じでスーツを着こなしている。 身に付けている物もそう安いものではないだろう。 藍では到底買えそうに無い値段だという事ぐらいは分かる。 そう考えると、この男の仕事の立場がなんとなく分かった気がした。 しかし、藍にはそんな事どうでも良かった。 「水色じゃないよ。あさぎ色。」 藍の素っ気ない返答に男は少し驚いた様子だ。 自分の事を多少でもかっこいいと思っているのだろう。 自分に興味を示さない藍に対して、不服に思っているようだ。 「あさぎ色?」 「そう。あさぎ色。」 「ふーん。そうなんだ。」 男も藍には興味が無くなったのか、藍からは眼を背け他のメンバーと喋り出した。
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