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なんかもう……
「ッ!」
と、その時たまたま後ろを振り向いたその子と目があってしまった。
ドキリと心臓の鳴る音が鼓膜を揺らす。
整った顔立ちに据えられた、吸い込まれそうな鋭く真っ直ぐな瞳に気を奪われる。
(やべ、見つめてしまった……)
咄嗟に携帯を取りだしあたかもメールを見るかのように取り繕う。
手にはうっすらと汗。
女の子はすぐさま曇ったような顔を向けたような気もしたが、信号が青になり、動き出した人々に流されるように短く息を吐いたあと、100mを切った家に帰る事だけを考えることにした。
住宅街の中に入り、駅前の騒がしさも後ろへさり、微かな音だけがに風に乗って流れてくる。
もう電気が消えてる家も多い。
この静寂を壊すのは時折脇を通りかかる車くらいだ。
それにしてもこう暗く、狭い路地でもあんなサイズのファミリーカーとかをよく走らせられるよなぁと感心してしまう。
そうそうこんな厳つい4WDのファミリーカーだってと、横を通り過ぎようとした車を見た瞬間。
キーッ、ガラッ
突如停車し、勢いよく開いたスライドドアから飛び出した男に口を塞がれ、もがく間もなく、首筋を殴られる。
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