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―新たなる一歩―
13年、連れ添ってくれた執事の白虎を殺してしまった百代家の末裔・朱雀。
あれから1ヶ月がたったが心の傷は癒える事なく、毎日引き込もり、吐き捨てるように日々をかさねていた。
「うぅ…白虎ぉ…」
『坊っちゃん…』
白虎のあの時の言葉が頭の中に響く。
『私はね、朱雀。貴方に虹のような美しく輝く人になってほしいのです。』
(白虎…君なしで僕、どうすればいいの…?)
『いいですか、素晴らしい虹も大雨がなければ出来ません。つまり、大雨の後に出来るのです。だから、朱雀がもし、これからとても辛くて、苦しくて、死んでしまいたいときもたくさんの涙をながすはずです。しかし、その後には虹のように輝く事が出来るはずです。』
(――そうだ…約束したんだ!こんなことでくよくよしてたら白虎が泣いちゃう!――)
朱雀少年は一度だけ深呼吸をして、勢いよく立ち上がった。
「よしっ!きっとこんな僕だって…!」
「わっ!」
気づくと部屋の入り口に見たことのない女の子が立っている。
「君は…だれ?」
「まず貴方から自己紹介するべきでは?」
(この子、怖い…)
朱雀少年は幼いながら、嫌な予感しかしなかった―――
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