―新たなる一歩―

1/5
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ

―新たなる一歩―

13年、連れ添ってくれた執事の白虎を殺してしまった百代家の末裔・朱雀。 あれから1ヶ月がたったが心の傷は癒える事なく、毎日引き込もり、吐き捨てるように日々をかさねていた。 「うぅ…白虎ぉ…」 『坊っちゃん…』 白虎のあの時の言葉が頭の中に響く。 『私はね、朱雀。貴方に虹のような美しく輝く人になってほしいのです。』 (白虎…君なしで僕、どうすればいいの…?) 『いいですか、素晴らしい虹も大雨がなければ出来ません。つまり、大雨の後に出来るのです。だから、朱雀がもし、これからとても辛くて、苦しくて、死んでしまいたいときもたくさんの涙をながすはずです。しかし、その後には虹のように輝く事が出来るはずです。』 (――そうだ…約束したんだ!こんなことでくよくよしてたら白虎が泣いちゃう!――) 朱雀少年は一度だけ深呼吸をして、勢いよく立ち上がった。 「よしっ!きっとこんな僕だって…!」 「わっ!」 気づくと部屋の入り口に見たことのない女の子が立っている。 「君は…だれ?」 「まず貴方から自己紹介するべきでは?」 (この子、怖い…) 朱雀少年は幼いながら、嫌な予感しかしなかった―――
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!