蜂-ハチ-2

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 情報屋は町の真ん中にある。でも誰も気付かない。見た目は帽子屋だ。誰も気付くはずがない。  蜂はその帽子屋に向かってバイクを走らせた。急げば20分もかからずに着くはずだ。  15分くらいで着いた。蜂は乱暴に帽子屋の扉を開けた。 『おわっ蜂君じゃん!久しぶりやな~でもドアはもうちょい丁寧に開けてな?壊れてまうよ。』  店のカウンターの所に1人の男がいた。20歳くらいの男だ。 『あぁ悪いな。ちょっと聞きたい事があってな。』 『わかってるで。内村双助の事やろ?』 『そいつの話もだが、俺が1番聞きたいのは自殺屋だ。』 『自殺屋ぁ!?またおもろいもんに目ぇつけたなぁあんさん。』 『俺の獲物を横取りしやがって…!』 『なるほどな。で?』 『何が望みだ?』 『もちろんあんさんの個人情報やな。知りたい事だらけや。あんさんは取引が上手いからなぁ。自殺屋は簡単に情報が手に入ってまうからつまらん。』 『…個人情報か』 『なんかない?』 『…俺は赤渕眼鏡が好きだが?』 そう言いながらポケットからお気に入りの眼鏡を出した。 『…微妙やわ。てかそれなら自殺屋は雨が好きですくらいしか教えられへんよ?ええの?』 『・・・』 『どうしたん』 『…じゃあ本名』 『あかん!いやええんやけど、なんかいきなりハードル上げすぎやないか?もっと低くな…』 『靴のサイズ』 『わいが知ってなんの得をすんねん。まったく…。なんかもっと!』 『学校名』 『ええやん。』 情報屋は笑った。白い歯が綺麗に光っている。 『取引成立やな!』 『まてどれだけ教えてもらえる?』 『自殺屋の学校名』 『学生なのか』 『そや。』 『あとは雨以外の好きな物くらい。』 『…また必要になったら増やそう。とりあえずそれくらいでいいや』 『まいど♪』 そう言って、情報屋の男は後ろの棚からファイルを持って来て開いた。 『ここや』 開いたページには写真があった。写っていた所を見て、俺は目を丸くした。 『女子菊乃学園…』
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