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アタシがマネージメントを始めたのは、ここのボスに拾われた恩があるだけで蜂の下で働くためじゃない。まぁ蜂はよく働くからアタシの収入が減る事もなく安心だけどね。
アタシも時には人を殺す。ホント単純だが、簡単な仕事だったらアタシが引き受ける。
『あんたに敵う人間なんていないよ桃。』
『蜂がそんな台詞言ってていいの?あんた一応この業界トップの人間なのよ?』
『知ってる』
ふふふと蜂は笑ってアタシのほうを見た。
『…言うんじゃなかった。もっと働け。アタシの為にもボスの為にも。』
『なんじゃそりゃ』
『あんたが働いた分だけ金が入るんだから』
『知ってますーかわいくねー女。金金金って…もてねぇぞ?』
『結構です。』
『なんでお前みたいな普通の奴がこんな世界に居るんかねぇ…』
『・・・』
普通じゃない。アタシはもう普通にはなれない。もうアタシは…
『アタシは普通なんかじゃないよ…』
両親も金がなくなってアタシを稼ぐ道具としか見てなかったし、使えなくなったらストレス発散の道具としか見なかったし。アタシが金を欲しがるのはあいつらを見返してやりたいからかも。
『そういえば…蜂としての3つ目の依頼は…あんたからだったな』
『そうだったかしら?』
ニヤッと蜂は笑った。
『今だ報酬貰ってないなぁ…俺なんてまだ9歳だったのに。あんたもか。』
『…覚えてない』
『あぁ俺もうろ覚えだ。』
あれはよく雨の降る日だった。
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