巳水妃の策(後編)

6/6
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「へえ…」 妖艶な女の顔になっていた。 巳水妃は勝利を確信した。 「先ずは、この忍殿の力が本物かどうか、我が試してみます。それで本物であれば、乙姫様に謁見させ、それを以て作戦開始とさせていただきます」 廉は鷹揚に頷いた。 「いいよ、試してみようじゃあないか。この子、中々面白そうだねえ、ククク…」 廉の計算。 (いいねえ。真砂の好みにピッタリじゃあないか。アレの婿にして、愚息を廃するも良し。アタシの後添いにするのもアリだねえ。楽しみ、楽しみ…) 「み~~ず~~き~~ちゃ~~ん!」 「ああ、分かっとるわ。乙姫様の謁見が終わり次第、お主の所に寄らせる故。悪狐を封ずる宝具をお主から借りねばならぬしのう」 「任せて~!忍くんの面倒はワタシが心身共に見てあげるから~!」 琥珀の計算? (うふふ~!忍くんとエッチ~!朝から晩までいっぱいいっぱい、い~~っぱい愛し合うんだから~!あんな事やこんな事まで、うふふ~、あはは~) 妄想に浸る二人を置いて、巳水妃と陽視は竜宮を後にした。 赤毛で長身の女性が刀を振るっている。 まるで怜悧な刃物の様な雰囲気を纏う女性。 豊満でありながら、鍛えられた肢体を持つ強面の美女である。 「精が出るのう、呉羽(くれは)」 「脾肉の嘆、という訳でも無いのですが、ジッとしてるのは性に合わないので、こうしております」 彼女の名は呉羽(くれは)。 とある事件で巳水妃が保護した鬼女である。 「そんなお主に頼みたい事があってのう。下手をすれば荒事があるやも知れぬ」 「…穏やかでは無いですね。何事です?」 「とある人の子の警護をお主に頼みたいのじゃよ」 此処から物語は始まる。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!