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「へえ…」
妖艶な女の顔になっていた。
巳水妃は勝利を確信した。
「先ずは、この忍殿の力が本物かどうか、我が試してみます。それで本物であれば、乙姫様に謁見させ、それを以て作戦開始とさせていただきます」
廉は鷹揚に頷いた。
「いいよ、試してみようじゃあないか。この子、中々面白そうだねえ、ククク…」
廉の計算。
(いいねえ。真砂の好みにピッタリじゃあないか。アレの婿にして、愚息を廃するも良し。アタシの後添いにするのもアリだねえ。楽しみ、楽しみ…)
「み~~ず~~き~~ちゃ~~ん!」
「ああ、分かっとるわ。乙姫様の謁見が終わり次第、お主の所に寄らせる故。悪狐を封ずる宝具をお主から借りねばならぬしのう」
「任せて~!忍くんの面倒はワタシが心身共に見てあげるから~!」
琥珀の計算?
(うふふ~!忍くんとエッチ~!朝から晩までいっぱいいっぱい、い~~っぱい愛し合うんだから~!あんな事やこんな事まで、うふふ~、あはは~)
妄想に浸る二人を置いて、巳水妃と陽視は竜宮を後にした。
赤毛で長身の女性が刀を振るっている。
まるで怜悧な刃物の様な雰囲気を纏う女性。
豊満でありながら、鍛えられた肢体を持つ強面の美女である。
「精が出るのう、呉羽(くれは)」
「脾肉の嘆、という訳でも無いのですが、ジッとしてるのは性に合わないので、こうしております」
彼女の名は呉羽(くれは)。
とある事件で巳水妃が保護した鬼女である。
「そんなお主に頼みたい事があってのう。下手をすれば荒事があるやも知れぬ」
「…穏やかでは無いですね。何事です?」
「とある人の子の警護をお主に頼みたいのじゃよ」
此処から物語は始まる。
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