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「私達を弄んだんですね!」
「酷いよ…信じてたのにっ!」
二人の少女に詰め寄られる軽薄そうな男。
身なりからして上流階級の出身の様だ。
「はン…何言ってんだか?君等如き下賤の者が、僕に相手してもらっただけでも光栄に思うんだね」
「身分なんか関係ないっていう言葉…嘘だったんですね?そればかりか星香(せいか)にも手を出すなんて…」
「君しかいないって言ってたのにっ!琴乃(ことの)にも手を出して、二股かけてたなんてっ!」
二人の言葉に侮蔑の表情を浮かべて、男は答えた。
「はぁ…ほんとウザいね、オマエら。てか、オマエらみたいな汚らしい女に僕が本気になるワケないじゃん」
そして惨劇は起こった。
「ぐああああああっ!ぐは…あ…あ……あう…」
男の腹に突き刺さる小刀。
「よくも!よくも、よくもよくもっ!バカにして!見下して!蔑んでっ!アンタなんか、地べたを這いずり回って、血反吐垂れ流しながら死んでしまえばいいんだっ!」
男の腹部をめった刺しにする黒髪ショートの少女。
「駄目ですよう、星香ぁ。回復されて返り討ちに遭ったら馬鹿みたいじゃないですかぁ。殺るならトドメを刺さなきゃ、ですよ?」
黒髪ロングの少女が斧を振りかざす。
「や、やめ…ゆるして…」
命乞いをする男。
「キャハハハハッ!見てよ、ねえ見てよ琴乃!コイツ、腹から内臓はみ出しながらオシッコ漏らしてるよ!散々カッコつけてみっともないったらありゃしないよねえ!」
「や、やめてよぉ、星香ぁ!ウフッ、そんなに笑わせられると力が…」
斧が揺らぐ。
「ひ、ひいいっ!」
「なあんて…それ位で力が緩む筈ないですよぅ」
「あ…あはは…」
男の顔が緩んだその時――
ズダァァァァ…ン!
男の首は胴体から離れていた。
「ウフ…アハハ…何安心してるんですかぁ?私達がアナタを許す筈ないじゃないですかぁ。ほんと最後まで最低な男でしたねぇ」
「ほんと最低だったよっ!このっ!このこのこのっ!」
男の首を踏みにじる黒髪ショートの少女。
やがてその顔が歪み、涙が浮かぶ。
「私達も…最低…こんな男に…揃って騙されてさ…」
「そう…だよね…私達、ほんと馬鹿だった…」
斧を足下に落として、すすり泣く黒髪ロングの少女。
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