脇役にも人生有り~垢舐め編~

2/5
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「私達を弄んだんですね!」 「酷いよ…信じてたのにっ!」 二人の少女に詰め寄られる軽薄そうな男。 身なりからして上流階級の出身の様だ。 「はン…何言ってんだか?君等如き下賤の者が、僕に相手してもらっただけでも光栄に思うんだね」 「身分なんか関係ないっていう言葉…嘘だったんですね?そればかりか星香(せいか)にも手を出すなんて…」 「君しかいないって言ってたのにっ!琴乃(ことの)にも手を出して、二股かけてたなんてっ!」 二人の言葉に侮蔑の表情を浮かべて、男は答えた。 「はぁ…ほんとウザいね、オマエら。てか、オマエらみたいな汚らしい女に僕が本気になるワケないじゃん」 そして惨劇は起こった。 「ぐああああああっ!ぐは…あ…あ……あう…」 男の腹に突き刺さる小刀。 「よくも!よくも、よくもよくもっ!バカにして!見下して!蔑んでっ!アンタなんか、地べたを這いずり回って、血反吐垂れ流しながら死んでしまえばいいんだっ!」 男の腹部をめった刺しにする黒髪ショートの少女。 「駄目ですよう、星香ぁ。回復されて返り討ちに遭ったら馬鹿みたいじゃないですかぁ。殺るならトドメを刺さなきゃ、ですよ?」 黒髪ロングの少女が斧を振りかざす。 「や、やめ…ゆるして…」 命乞いをする男。 「キャハハハハッ!見てよ、ねえ見てよ琴乃!コイツ、腹から内臓はみ出しながらオシッコ漏らしてるよ!散々カッコつけてみっともないったらありゃしないよねえ!」 「や、やめてよぉ、星香ぁ!ウフッ、そんなに笑わせられると力が…」 斧が揺らぐ。 「ひ、ひいいっ!」 「なあんて…それ位で力が緩む筈ないですよぅ」 「あ…あはは…」 男の顔が緩んだその時―― ズダァァァァ…ン! 男の首は胴体から離れていた。 「ウフ…アハハ…何安心してるんですかぁ?私達がアナタを許す筈ないじゃないですかぁ。ほんと最後まで最低な男でしたねぇ」 「ほんと最低だったよっ!このっ!このこのこのっ!」 男の首を踏みにじる黒髪ショートの少女。 やがてその顔が歪み、涙が浮かぶ。 「私達も…最低…こんな男に…揃って騙されてさ…」 「そう…だよね…私達、ほんと馬鹿だった…」 斧を足下に落として、すすり泣く黒髪ロングの少女。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!