プロローグ:その1

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玄関の段差で躓く。 ゆっくりと起き上がり、ある部屋に向かった。 大切な思い出がある部屋。 自分の命より大切な子が居た部屋。 2階にある部屋の扉を開ける。 ドアノブをゆっくりと回し部屋の中へ入り、全体を見た。 死ぬかもしれない妹… その事を考えるだけで苦しくなった…… その時、机の上に古びた本が一冊乗っていた。 題名は 「願いが叶う世界……」 何か気になり、表紙をめくる。 字が滲んで読みづらくなっていたが、断片的に読めた。 『想いは、……を超える。…………は、願いを………………叶える。もし、……す、想いがあるのならば、願いを……たいの………、…本を抱き、叶えたい想いを念じよ。さすれば……は………く』 本を強く抱きしめる。 嘘でもいい。 お伽話でもいい。 もしも、願いが叶うのならば… 『死にそうになっている妹に幸ある未来を!!』 私が覚えているのは、強く妹の事を願い、胸に強烈な痛みを感じた所までだった。
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