見切り発車

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「ばっ!!ふざけんな!!誰がホモだっつうの!!」 あ、見慣れない顔…。 そう思うも、まだ腕が離れない。 だからじっと見返せば、男はハっとした顔をして、 「ねっ、ネコが怖かっただけだっつーの!」 お前なんかこっちから願いさげだっつうのと、突き飛ばすように藤森から離れた。 全く理不尽な。 「……ネコが…か」 思わず、ふっと。 「なっ!てめぇ、今笑いやがったな!!!」 ぎゃあぎゃあと、男が藤森の胸倉を掴む勢いで迫る。 「いや、だってネコとかって、」 プっともう一度。 端正な顔だちだから、余計むかつくと男は思った。 「あぁ!?てめぇ、ひっかかれたらどーすんだよ!痛ぇだろうが!」 いや、たかがネコだから。 常日頃それ以上のリスクが伴うこの学校で、それはないだろうと藤森は再び頬を緩めれば、ついに男の手があがる。 が、藤森の向かっていた渡り廊下そこから藤森を呼ぶ声がする。 それで中断したが、 「まさか、あれが東都中の安野だったとはな、」 いまだ、藤森が信じられない理由をつくった出会いだった。
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