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この街も例外なく、朝日とともに新たな1日が始まる。 9月上旬―――もう夏も終わり、気温も段々涼しくなって秋になっていく。 そのハズ。 そのハズだった。 ―――なのに、暑い。 夏のピークはとっくに明けたはずなのに、外の気温は真夏日並みだった。 地球温暖化が原因なのか、それとも今日に限って地球が怒って地熱を出しているのが原因なのか。 そんなことは知らず、とにかく、暑かった。 1日の始まりを告げる太陽も、大半の人にとっては嫌がらせ以外の何者ではない、といった気持ちだったろう。 ―――ここは松葉市。 なかなか大きな街で、しかし日本の大都会から見ればそんなに都会でもなく、だからと言って日本の田舎と比べたら全然都会であるという……まぁ、それくらいな都会なのである。 一番人で賑わう駅前にはショッピングモールや居酒屋、娯楽施設が立ち並び、連なるビル群は、まるで砦の中にいるような錯覚を味わう。 地上から空を見上げれば、広告看板や垂れ幕などにより、空が狭く感じられる。 そしてビルの窓やアスファルトに反射する太陽の熱は、ただでさえ暑い日にもかかわらず、さらに追い討ちをかけ、人々を苦しめていた。
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