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「あ…ああぁぁぁ!!?ちちち、遅刻だぁぁぁ!!」
あまりに多くのことを説明されたために一杯一杯になって忘れていたが、今日は2学期の授業開始日だった。
その事をようやく思い出し、時間を改めて確認する涼香。
―――うん。
遅刻だろう。
「やっばっ!わわっ!早く準備しなきゃ!!」
急いで準備に取りかかる。
まずは服を脱いで制服に着替―――
「………」
Tシャツに手をかけ脱ごうとしようとした時、ピタリと動きを止め、後ろを振り返る。
「あー、そうかスクールか。まだガキンチョだからなぁ~クソアマァーは。ほら、早くしねぇと遅刻するぞ……て、なんでこっちを見てんだコラァ。何か文句あんのか?」
持っていたライターで勝手にタバコに火をつけ、窓から紫煙を吐くギース。
「―――で」
「あん?」
「出てけぇーーー!!」
「うぉ!?テメェッ、なんだこのクソアマァー!お、おい!」
全力でギースを窓から叩き落とすと、カーテンをして一気に着替える。
そしてバックを持つと、リビングにダッシュ。
リビングの机の上には友近が作って置いていった朝食があった。
「う~…」
急がなければならないが、なんとも美味しそうな朝食をその場で足踏みしながら迷い中。
「えぃっ!」
まぁ、食欲には勝てなかったので、おかずだけ口に頬張り出口にダッシュ。
「いってきまーふ」
慌ただしく階段を降りると、アパートの自転車小屋へ。
自分の愛車の鍵を開けると、全力でペダルを漕ぎ出した。
「……まぁ急いでるのはわかるがな、クソアマァー」
颯爽と駆け抜けていく涼香の姿を。
「人を窓から突き落とすのはどうかと思うがな、俺は」
木に引っかかり、逆さまになりながらタバコの紫煙を吐いて眺めるギースだった。
1-2.end
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