12人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
「あ!ちょっと待って!」
ギースが腕に治癒魔術をかけようとした時、涼香が止めに入った。
「あん?」
「笑ったのは、うん。謝る。ごめんなさい」
ギースの右腕を触りながら謝る涼香。
「この腕の傷の原因も、やっぱり元は私のせいだもん。だから、せめて手当てさせてください!お願いします!!」
必死になって頼み込んでくる涼香にあっけにとられたのか、ポロリとタバコを落とすギース。
予想外だったのだろう。
まさか涼香が責任を感じていたことに。
ギースが呆気にとられている隙にキョロキョロと周囲を見渡す―――と、学校に目が止まった。
(そっか…学校の保健室だったら…)
包帯や薬品といった救急キットがあるはずだ。
幸いにも、まだ灯りはついている。
だが時間帯的にも生徒は皆無だし、いるとしても数名の教員だけだろう。
…ということは、学校に侵入可能…ということだ。
「よし!ギースさん!学校にいきましょう!」
「…はっ?」
「学校にだったら手当てをする道具が揃ってますし!早く手当てしなきゃ!!」
ぐいっと右腕を引っ張る。
「お、おいっ…クソアマァ!テメェそっちを引っ張るな―――てゆーか!テメェ!実はいっぱいいっぱいか!?そーなんだろ!?コノヤロー」
「私に任せてください!ドーンとこーい!!」
「うぉぉい!?」
―――こうして半ば強引に引っ張られながら学校に忍び込むのだった…。
1-3.end
最初のコメントを投稿しよう!