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そしてグラウンドに近づいていって、急にギースはピタリと足を止めた。
「あれ?どうしたんですか?」
「………静かすぎる」
「へ?」
唐突の言葉に疑問を感じる涼香。
だが、冷静に思ってみれば、校舎に電気はついているものの、誰1人の影も、形も、声さえもない。
まるで学校全てが眠っているよう…そう思えても仕方なかった。
そんな思考の最中で力が緩んだのか、ギースは右腕をすり抜き、右腕でアゴをおさえながら考える。
「……まさか、始めから、か?あの糞駄犬どもも、クソアマァを追いかけていたが…その実、最初から学校に行くよう仕向けていた、ということか?」
ギリッと歯に力を入れるギース。その顔は怒りと焦りが見られた。
「…ギースさん…?」
「チッ!やられたぜ、まんまとハメられた!やっぱりテメェに任せるんじゃあなかったぜクソアマァ!!」
突然キレ出すギースに涼香もビクッと反応する。
「…えっ?」
「つまりは誘い込まれたってことだクソアマァ!ここが狩り場だ!!ジェダイの野郎、ここにいやがる!!」
「狩り……誘い込まれた!?」
そのギースの焦燥感につられたのか…いや、違う。涼香もその一言で悟ったのだ。
ここは―――危ない。
「ど、どど、どうしよう!?とりあえず、校舎に隠れる!?」
パニックになりつつある涼香。
「バカかテメェ!校舎には入るな!!校舎に電気はついてるが人の動きがない、というと、おそらくは眠らされている!今入れば俺たちもすぐにお仲間入りだ!!」
「えぇぇ!?」
「とりあえず、一旦校舎を背に―――!!クソアマァ!!」
すると急に涼香を蹴り飛ばすギース。
「きゃっ!?」
そのギースと涼香の間を、何やらキラリと光るものがすり抜けていったのだ。
ドテッと尻餅をつく涼香。
「いたた…今…何か…」
通った…いや、投げられたのだ。
それを問う前に、
「物陰に隠れろクソアマァ!!」
と自分とは逆方向に走るギース。
「えっ!?ちょっ!?ギースさ―――」
ギースに向けて手を伸ばす。
が。
その時またしてもスレスレの所を何かが通過していった。
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