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「………」
ゴクリと生唾を飲む。
確かに、見た。
間近を通り過ぎたので、しっかりと『ソレ』の姿を捕らえた。
あれは―――『剣』だった。
バシュ、バシュ、バシュっと、校門から投擲される剣をなんとかかわし、校庭の木の影にたどり着いたギース。
地面に突き刺さった剣をマジマジと見つめる涼香……
(この剣…どこかで…)
見た。
確かに見たことがある。そしてその答えも知っている。
それを言おうとして―――足音が聞こえてくるのに気付いた。
ザッ、ザッ、と力強く一歩一歩近づいてくる足音。
―――ぞくり、と背筋に走る悪寒。
アレは―――
「―――おい、クソアマァ!!」
フッとギースの声で我にかえった。
「ギ、ギースさん!こ、これって!!」
大声で叫ぶ涼香。
ギースと涼香の間は15~20mほど離れていた。
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