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校門からまっすぐこちらに歩いてくる音が聞こえる。
羽織っていたマントを脱ぎ捨てると、手にはあの時のように剣―――
ではなく。
なにやら奇っ怪な筒のような物を肩からぶら下げ、脇にかかえていた。
その男の顔に…2人は見覚えがあったのだ。
「あ、あれってやっぱり…」
それは昨日のこと。
殺し合いをしていたもう1人の剣士。
あだ名は―――『ジェダイ』。
「―――おい!おいこらクソアマァ!無事か!?」
ギースの罵倒にまたしてもハッとなる涼香。
「むっ、ギースさん!一応無事ですけど!クソアマァはやめてくれませんか!?私には早凪涼香っていうちゃんとした名前があるんです!!」
ハッとしたこともあってか、冷静になったおかげか…それか恐怖でついに精神がどうにかなったのか。
涼香はついに不満に思っていたことを、このタイミングで抗議した。
「うるせぇぞクソアマァ!テメェなんざ、『クソアマァ』で十分だ、クソアマァ!!」
―――だが、その反発も1秒も経たずに粉砕された。
「―――来たぞ、ジェダイだ。フォースに吹き飛ばされるんじゃあねぇぞ!!」
虚勢からか、ギースは笑みを浮かべながら、校門の方を見る。
―――そして人物の足が止まったと同時に、お返しとばかりに右腕で炎を投げる。
「……っ!」
右腕の痛みにより全身が痺れ、炎の軌道も直撃コースから多少ズレてしまった。
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