04.気持ちの裏側を

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否みきれない自分の罪の重さが、又小さな罪を重ねてゆく。それに気付かないことが愚かなことだと、骸はわかっているのだ。だからこそ真実を求められればそれ以上嘘を重ねることはないし、きっと真実だって話せるのに。 けれど、バレなければ、求められなければ、決して一生その機会がなければ、僕は言わない。 ずるい男だ、と分かりきっていたことを呟いてみたつもりだったのに、何故か虚しくなった。 ああ、愚かだ。失ってから初めて気付くとかそういうありがちな展開など馬鹿らしい、と散々貶してきたけれど、それでも僕はこんな気持ちを初めて知った。微かに、其れは薄っぺらいものではないような気がする。 許して欲しかった。神様はなんて意地悪なのだろう。ほんとうに僕が、綱吉に思い出してもらいたくないなどと思っているとでも?
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