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だれもが俺たちを『幼なじみ』と言った。べつにそれは間違ってないし、むしろ本当のことだから気にしたことはなかったけれど、いつしか自分が『幼なじみ』に恋心を抱いていたことに気付き、嬉しい反面やはり苦しかった。それを知ってか知らぬか『幼なじみ』は「他人が決めたような、他人に決めつけられるのは不愉快だ」と言い出したかとおもえば、自分に自身の唇を重ねてきたのだ。なにが起きたのかさえわからない綱吉の、琥珀に色付いたおおきな瞳をまるで「そらすな」とばかりに見つめて、こう言ったのだ。
「僕はきみが好きです。友情なんかでも、家族とかそういうのでもない、ぼくはきみをあいしてる」
頬を幼なじみの両手で挟まれたまま、彼のきれいな青と赤とのコントラストに煌めくオッドアイに見つめられて、そらせるわけがなかった。否、そらす理由がなかったのだ、キスを拒む理由がなかったように。
ふにゃ、と笑った綱吉は心底しあわせそうな顔で言う。
「おれも、むくろがだいすきだよ」
以来、二人はめでたく『恋人』となった。まわりからはもう『幼なじみ』なんて言われなくなった。そしていま、二人が出会ってからは20年、恋人になってからはかれこれ5年は経っていた。同性同士…?関係ない、ぼくは絶対に綱吉と結婚しますから!そう言い張る骸がいじらしくてかわいいな、なんて思ってしまう綱吉も自身を重症だと思った。こんな、こんなにも嬉しさを噛みしめるような、そんな毎日がつづく中だった――綱吉と骸は別れた、という情報がツナの家庭教師、いわば曾て呪われたアルコバレーノと呼ばれたリボーンのもとへ降ってきたのは。
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