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アスミと出会ったのは、僕の勤めていたペットショップだった。
猫の餌を買いに来たんだったか・・・。
髪の長い、猫の好きな娘で、黒猫を一匹、とても可愛がっていた。
何度か話をして、店以外でも会うようになり、何となく付き合って、愛し合うようになった。
辛いものが苦手で、歌うのが好き。
優しい手触りの服ばかり着ていて、黒猫の写真を撮っては、可愛いってはしゃいでいた。
僕は、そんなアスミが可愛くてしょうがなかった。
「半年ぐらい前、彼女の飼っていた黒猫が死んだ。」
僕は、しばらくアスミの思い出に浸っていたが、再びベルに話し始めた。
「誰かが殺したんだ。」
ベルの顔に、悲痛な表情が浮かんだ。
「その誰かは、ただの、いたずら半分だったのかもしれない。
・・・けど、残酷な殺し方だった。
おまけに、その死骸を、アスミが見つけてしまった。」
「かわいそうに・・・。」
ベルの頬を涙が伝った。
「ああ。彼女の沈みようは酷かったよ。僕は、犯人が許せなかった。
警察も動いてはくれたようだけど、何せ、被害者が猫じゃね・・・。
結局、僕は自分で犯人を捜すことにした。」
僕は、話しながら、自分の両の拳に目をやった。
死んでいるからなのか、それとも、強く握り締めているからなのか、拳は、血の気が失せて蒼白くなっていた。![image=345674884.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/345674884.jpg?width=800&format=jpg)
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