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チリリ・・・。
『ここは・・・?』
僕は、ゆっくりと、辺りを見回した。
『これは、霧かな?』
周りはどこも、ふわふわと白い、冷たくも熱くもないものに満たされていて、広いのか狭いのかさえよく判らない。
暗くもないし、眩しくもない。
『なんだか・・・、
ボンヤリした所だなぁ。』
僕はいつの間にかすたすたと歩き出していた。
いや、実はさっきから、ずっと歩いていたのかもしれない。
霧のような物のせいで、足元がどうなっているのかも見えないのに、怖いという感覚は無かった。
どこに向かっているわけでもない。
危ないかも、という考えも浮かばない。
僕の頭も、周りの景色に負けず、ボンヤリしていた。
チリリ・・・。
『そういえば、さっきもなんか聞こえたような・・・。』
ボーッとした頭で、やっとそれだけを考えたとき。
チリン。
軽やかな鈴の音とともに、突然、目の前に何かが飛び出した。
「わっ!」
その何かは、僕の身体に触れるほど近づいて止まった。
かすかに触れたその感触は、やわらかな、軽いものだったが、僕は驚いて、思わず3メートルも飛び退いていた。
「な、なんだ!?」
目の前に現れた何か・・・、
その何者かは、一見可愛らしい少女に見えた。
けれど、明らかに普通の少女では無い。
白銀色の髪。
黄金色の瞳。
そして、さっき触れた、やわらかく真っ白な・・・、大きな翼?
「て、天使・・・?」
呟きながら、僕は、なにか不思議な感覚にとらわれた。
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