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“演奏会”とだけ
札がさげてある部屋はお城の
手前右の扉、そして短い通路を
抜けてすぐそこにあった。
「王さま、連れてきました」
ルシアは扉をゆっくり開け
少し頭を下げている。
僕も同じように頭を下げる。
「ありがとう、疲れたろう
ルシアは帰れ。」
優しい口調。
王さまは優しく微笑むと
ルシアの肩をつかみ部屋をでた
王さまはすぐに帰ってきた。
ルシアを外まで見送ったのか。
「さてと、まず君はだれ?」
さっきとは裏腹で口調が強い
そんな気がする。
そういえば王さまとは初対面だ
僕がこの国にきたのは
何ヶ月も前なのに
なぜ会わなかったのだろう?
王さまでもこうやって演奏会や
散歩をするだろうに。
「フローラ・スーと申します
歌歌いです。」
「俺はクラド・ファイファー
この国の王さまだ。」名前を初めて聞いた。
何てお呼びしたらいいのだろう
僕は思ったことが
口に出るタイプだ。
それで何度か失敗もあったのに
やめられない。
「何てお呼びしたら
いいですか?」
王さまは少し驚いた顔を
していたけれど、
すぐに優しい顔に戻り
問いに答えた。
「…クラドがいい。
王さまじゃあ堅苦しいし」
クラドは子どもっぽい気もする
ほんとは大人以上なのかも
しれないけれど。
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