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そのまま営業部のフロアには下りずに屋上へと上がった。
扉を開け屋上に出ると、眩しい朝の太陽がまるで女優を照らすスポットライトのように薫に降り注ぐ。
『よっしゃーっ!』
大きくガッツポーズをし雄叫びをあげた。
ほらね、ほらね。
可愛い子に誘われたら断れないでしょ?
係長が言ったでしょ?
もう、薫にかかったらちょろいから。
『ふふっ』
佐藤京子が何も知らない事が可笑しくて堪らない。
『薫ちゃん、一歩リードだからっ!』
くやしがる京子の顔を思い浮かべると笑いが込み上げる。
先手必勝とはこの事だわよ。
ひとしきり雄叫びをあげ勝利に一歩近付いた自分を褒めちぎり、落ち着いたところでフロアへと下りて行った。
フロアに入ると何も知らない京子がデスクで仕事の準備に取り掛かっていた。
『おっはようございますぅ』
『あれ? 薫ちゃん今日は朝から随分と楽しそうだね』
篠崎さんの声がかかる。
京子もこちらに視線を向ける。
『うふっ。だってぇ、薫ったらこれからのハッピーライフにワクワクしちゃってるんですもん』
京子が怪訝そうな表情になった。
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