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『でさ、でさぁ、そん時の佐藤京子の顔ったら、あははっ! ユキにも見せてあげたかった』
お決まりの自宅近所のファミレスで、ストローを手に私ははしゃいでいた。
『ホント、薫って見てると面白いわぁ。高校の時にはいい寄る男の誰とも付き合わず、大学時代もそうだったよね?』
『ん? 当たり前でしょ。だって学生なんて眼中にないもん』
私はストローをドリンクバーから持ってきた《山ぶどうジュース》の入ったグラスにさし口にくわえた。
『高校時代もさ、自分の彼氏作らないでいつもアタシのデートについてきたりしてたよね』
『だって、ユキって彼氏に困った事無かったじゃん? ユキと一緒にいると将来のお勉強になったんだもん』
そう言うとユキが何かを思い出したような顔をして私に聞いてきた。
『ねぇ、薫ってさ、今だに経験無し?』
ユキの質問に私は大きく頷いた。
『ぶっはっはっ!』
店内に響き渡るくらいの大声でユキが笑う。
『な、何よ』
『いやぁ、ウケるー。薫ったら高校の時に言ってた通り実行してんだ?』
目の前で涙を流しながらユキは笑っていた。
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