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『悪い?』
『いや、悪くないない。つーか薫には頭が下がるよ』
『私の処女は結婚するための武器だからっ!』
『ぶっ! げほっ……ごほっ』
(誰? 噴いてむせてんのは……)
後ろから聞こえ振り向くと、そこにはテーブルに飛び散ったコーヒーを紙ナプキンで拭いている耕太がいた。
『ちょ、何あんた! 盗み聞き?』
『ち、違うって。飯食いに来たらさ、たまたまおまえがいたんだよ』
そう言いながら肩を震わせている耕太の姿に本気で嫌になった。
絶対この男……嫌っ!
『薫、誰?』
ユキの言葉に、私が答えるより先に耕太が自分のコーヒーカップと伝票を持ちやってきて言った。
『初めまして、菊地耕太です。薫の同僚です。以後おみしりおきを』
『な、なんでこっちに来るのさっ!』
『ええーっ、いいじゃん。俺も仲間に入れてぇ。薫と俺の仲じゃん』
やだ、コイツ。
早く死んでっ!
すっかり私の隣に座り込んだ耕太が口を開く。
『なんで処女が武器ってさ?』
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