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『あ、やだぁ。薫ったらまた間違えちゃったぁ』
『ここにコレを書いて、こっちは企業名だよ』
（知ってるよ）
『えっ？』
『ううん、篠崎さんってホント仕事出来るなぁって。やっぱり薫ってダメな子ですね……。
篠崎さんがいてくれて薫は幸せですぅ』
『ははっ、薫ちゃん解らない事あったらいつでも聞いてくれ』
『はいっ』
自尊心を擽られテンションの上がる篠崎さんにニッコリと笑顔を向けた。
別に篠崎さんに仕事を教えてもらいたいわけではない。
この子は守ってやらなきゃ、教えてやらなきゃって思わせるためだから。
社外の女に捕まった篠崎さんは、もう私の眼中には無いんだけど、もしかしたら彼のお友達にイイ男がいるかもしれない。
私はちゃんと頭を使ってるんですよ。
繋がりは大切にしなくちゃね。
本気で私が仕事が出来ないと思ってるんだろうなぁ。
先輩もそうだし、営業部にいるみんながそういう目で見ているのは解ってる。
残念でした。
仕事なんてね、ちょろいもんなのよ。
全ては目的を果たすための「演技」なわけ。
誰もそれを見抜けない。
私ったら女優でしょ？
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