壊された日常

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サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことをいちいち気にしていられないぐらい、俺、鬼塚ヒロトは今ヤバい状況に遭遇している。 下手したら、いや、下手をしなくてもこの状況じゃあほぼ確実に俺は死ぬだろう。 事の顛末はこうだ。 新しいクラスにもようやく慣れてきたこの5月初め、俺が入部後一週間で幽霊部員と化した剣道部の新入部員歓迎会に「最初ぐらい顔出せ」とかいう意味の分からない理由で強制的に連行された。 部員共が散々ばか騒ぎした後、「一年間サボった罰」とかいう、これまた理不尽な理由で後片付けを一人でさせられ、気付けば空には綺麗な満月が。 ドラえもんには間に合わないだろうが、せめてクレヨンしんちゃんだけはと早足で帰宅していると、突然、辺りに水色っぽい霧が立ちこめて、月光はおろか、街灯でさえボヤけて見える程だった。 そんな時、前からこちらに歩いてくる人影が見えた。
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