第一話 皆様御仕ら世します

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時代設定は新必殺仕置人以後、中村主水は、一年の定町周り任期終える 主水は正八のところに 「おい、どうした絵草紙やボーとして」 「こりゃだんな ちょっと」 アジト 主水は扇子をパタパタさせながら、蚊を追っている。 「鉄っつあんが死んでから丸3ヶ月 早いもんだね 八丁堀」 「念仏の野郎女郎の股の下でくたばりやがって、あの野郎らしいと言うか あの野郎らしくねえと言うかくくく」 「八丁堀わらっちゃダメだよ 鉄つぁん死んだんだから でも鉄つぁんが葬式代墓代のこしてるのは、驚いたね いつもピーピーしてたのに」 「いくら無頼なあの野郎だって 何かの時ぐらい考えてたってわけよ 時に正八 オメエの方は、どうなんだ この前の頼み料で、ゼニをあらかただしちまったんじゃねえかよ」 「俺は、この絵草紙屋があるから いざとなりゃあ売っぱらってもらやあ ねえ八丁堀はどうなのよ」 「おれの方はかかあとババアがなんとかすらあ なんにしろメンツだけにこだわる連中だから 想像(フラッシュ) せん「むこ殿のお葬式は由緒ある中村家にふさわしいようにやります りつご近所に恥をかくような事があっては、なりませんぞ」 りつ「はい母上、しかしそのためにはお金が」 せん「おーそうであったな 時にりつ、婿殿はお金をあちこちに隠しておったな もしやどこぞに残っておるやもしれぬ 箪笥や掛軸の裏、刀かけの下 見逃すでないぞりつ」 「はい、あの人の事ですから、きっとあちこちに 母上もし余る事がありましたらわたくし、うちかけをちょっと」 「おーおーそれなら、わたくしも帯など 虎は死して皮を残すと言うが婿殿は死してへそくりを残すか ほんにお前の婿殿は、良く出来た婿じゃ」 「生きてる時は何の役にも立ちませんでしたがね」 「それでは、りつ畳裏からやりますぞ 逃すでないぞ」 りつ、鉢巻きを締める 「こころえました母上エイエイオー」 想像終了 げんなりしている主水。 「どうしたの 八丁堀?」 BGM(断章) 「ちょっとめまいがな しかし正八俺は思うんだよ 俺達は家族に見送られて行くなんて考えちゃあいけねえんじゃねえかと 貢の死に方を見、インゲンの死に様を見、けんのすけとお歌の無様な最期を見て そして今度は鉄の野郎の死に方を知った。 みんな神様に見守られるような死に方はしてねえ」
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