0人が本棚に入れています
本棚に追加
「オレ達から…………本当に逃げ切れるかな?」
少年は街を眺め、佇んでいた。
正確には、街に入りたくても入れなかったのである。
……………なぜなら、その街は森の下…………崖の下にあったのである。
「そんなのって…………ないだろ………」
少年は絶望した表情で、崖の下の街を見下ろした。
崖はかなり深く、落ちれば、よくて大怪我、最悪で…………死。
だが、少年にはさほど悩む時間はなかった。
なぜなら、男達が少年に追いついてきたからである。
男達のリーダー的存在の茶髪の男は、少年の首に刀を突きつけた。
高さからとなると、大怪我か死体かのどちらかだ。生きていた場合は、殺す」
「「「はい!!」」」
男達は茶髪の男に従い、少年の死体を捜索すべく、深い森の中へと消えた。
一人残った茶髪の男は、崖の下を見下ろし、か細い声で呟いた。
「……………申し訳ありません、湊明様(ソウメイ)………」
少年…………湊明を自らの手で追い詰めた事に涙を流しながらも、茶髪の男………凰也(オウヤ)は、せめて湊明様が苦しまず死ねましたように………そう願って、ゆっくりと崖の下へと頭を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!