月夜の夢

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ここは鈴蘭屋。 江戸吉原のちょうど中心に位置する 人気遊郭 ただ、ここは遊女ばかりじゃなく、俺みたいな男も居ます。 俺は鈴蘭屋の男娼の雛菊っていいます。 本名は和也。 三歳くらいのときに、捨てられていたらしい。 最初は、楼主さんに育ててもらって、 そのあと、鈴蘭屋の姐さん達の付き人して、 そして今に至るって感じかなぁ。 「和ちゃん、紅かして」 今、紅を借りに来たのが、俺がここに来てからずっと可愛いがってくれてる たっちゃん。 ここでの名前は、椿。 「たっちゃん、俺も紅ない。しかも、白粉もない。」 「じゃあ、しかたないから、じゅんののとこ行くか。めんどくさいけど。」 じゅんのってのは、俺達 男娼の世話係。風呂、食事、着物の世話。 そして、髪結いまでしてくれる。俺達にはなくてはならない存在。 .
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