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スタークと狼の群れの戦いは三日三晩も続き最後に残ったのはスタークと長だけだった
「俺の銃の弾もこれが最後の一発だ…
お前も限界が来たろ…?」
長は荒く呼吸をするだけだ
「あの時は、助けてくれてありがとな…」
スタークと長は互いに見つめ合った
次の瞬間、スタークが放った弾は長の眉間に
長の鋭く尖った牙はスタークの喉に深々と刺さった
お互い同時に命を閉ざした
それから暫くして最初は狼の群れと一緒に歩むスタークだったが徐々に狼の数は減っていき最後は長しか残らなかった
「やっぱりお前とは何だか縁が有るみたいだな…」
長は静かに頷いた
「もしかしたらお前も消えるかもな…」
「もし良かったら一緒にならないか?」
長は首を傾げる
「俺がお前を食らって一つになるんだ
そうしたらお前は消えずに俺の中で生き続ける」
「どうだ?」
聞いた長は静かに、その場に足を折り畳みへたり込んだ
「ありがとうよ…」
スタークは手に持っていた銃で長を撃った
魂魄はスタークの手にする銃の中に入っていった
「後はこれを…」
スタークは銃口を自分の額に当て引き金を引いた
瞬間スタークだった魂魄は淡い光に包まれた
光が徐々に無くなっていき最後には姿も雰囲気も別人の一人だが「誰かと内に居る誰か」が立っていた
それからその「誰かと内に居る誰か」は虚圏(ウェコムンド)に辿り着き新たなる仲間に巡り会えた
しかし仲間だった虚(ホロウ)達はその「誰かと内に居る誰か」と共に居るだけで次々と命を閉ざしていった
そして「誰かと内に居る誰か」は孤独から逃れるために魂を二つに分けた
片方の名は、コヨーテ・スターク
片方の名は、リリネット・ジンジャーバック
そして二人は自分たちと居ても死なないと確証を得た人物と出逢う
「俺たちは、もう孤独じゃない…」
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