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「柚羽ー!
こっちこっち!!」
今日は土曜日。
たまの休みに、柚羽とデートをする約束をした。
俺たちは2人とも社会人。毎日仕事に追われている。
柚羽と俺は、3年前から付き合っていて、お互いがお互いを想い合える幸せな恋人になっていた。
「ごめんね…。遅れちゃって…。」
良い年なのに、最近の若い子と違って、黒髪を茶髪に染めたことがない柚羽。
すごく真面目な子で、良い子だ。
俺は茶髪で、色白。
男だから、色白よりは色黒になりたいけど、柚羽が羨ましいって言うから、日サロにも行かず、ワザワザ灼こうともせずで、色白継続中だ。
「大丈夫。
じゃあ行こ。」
当たり前のように柚羽の手を握って、歩く。
遅れた柚羽は、急いで来たせいか、手が冷たい。
…そんな急いで来なくても良かったのに…。
今は冬だから、雪が多くて歩きづらい。
横で柚羽が慎重に歩くのを見ていると、可笑しくなってくる。
「くく…っ、慎重に歩きすぎ。」
「な、だって、危ないでしょ?転んだら恥ずかしいから、まだ変な歩き方の方が良いの…。」
「変な歩き方で転んだら、面白いのにな。」
クスクスと笑うと、柚羽もそれを想像したからか、クスッと笑った。
柚羽は、マイペースで心の優しい穏やかな子。
決して、元気に飛び跳ねたり、大きなハキハキとした声は出さないけど、一緒に居たら癒される。
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