264人が本棚に入れています
本棚に追加
「空がいるから、大丈夫。絶対に転ばないっ。」
意気込んで言う柚羽は俺の手をキツく握りしめた。
鼻を真っ赤にして、ほっぺも真っ赤な柚羽。
それでも鼻をフンと鳴らして、俺の手を握っている。
そんな柚羽が可愛い…。
「柚羽、手痛い。」
「あ、うわ。ごめん。」
俺がサラリと言うと、柚羽は慌てて俺から手を離す。
俺から手を離した柚羽は、慎重に歩きながらも…シュンとしている。
苛めがいがあるなぁ。反応がいちいち可愛いし…。
「嘘だよ。
ほら。手、繋ご。」
「うん…!」
俺が笑って、手を差し出した途端、パアァっと顔を輝かせて、俺の手を握る柚羽。
くく…っ、単純。
手を繋ぎながら笑ってしまう。
「どうかした?」
柚羽がキョトンとしながら聞くから、これまた何故か笑えてしまう。
「ん、いやぁ。別に何でもない。」
「えー、何それ。
教えてくれたっていいのに。」
「いや、本当に何でもないから。」
付き合って3年も経ったのに、全然飽きなくて面白い。
付き合ってからは、1回も言ったことないけど…大好きだよ、柚羽。
まあ、心の中で思うだけで、本人には照れくさくて直接言えないけどね。
でも、この気持ちは嘘でも幻でもない。
本当に…柚羽が大好き。
ずっとずっと…―。
最初のコメントを投稿しよう!