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俺と柚羽は暫く無言で歩いた。
暫く無言で歩くと、
「…空。」
柚羽は俺をジーッと見ながら口を開いた。
「ん?」
「…私の家、来る…?」
照れくさそうに言葉を紡ぐ柚羽に対して、俺は口をポカーンと開けてしまった。
あまりの驚きに俺は歩いていた足を止めてしまった。
「…空?」
歩みを止めてしまった俺に気付き、柚羽も止まった。
「え…?…それ本気?」
動揺を隠せない。
だって…俺を家に上げるってことは、もう大丈夫ってことだろ…?
実を言うと、付き合っていて3回くらいしか柚羽の家に上がったことがない。
あんなことがあったから…、もう柚羽の家には入れないと思っていた…。
でも…、
「うん、本気だよ。」
目の前の柚羽は真っすぐ俺を見て、そう言った。
「……そっか。
じゃあ、行く。
ありがとう。」
柚羽の隣りに急いで並び、笑いかけた。
「ううん。私の方こそ、こんなに待ってくれて、ありがとう。」
笑う柚羽の手を握った。俺より小さい手を温かくしようと、ギュッと握る。
やべーな、今日。
隣りで笑う柚羽を見て、自分が変な気を起こさないように努力しようと、心の中で誓った。
でも、やっぱ無理かも。
いや、堪えろ。
我慢しろ、俺!
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