第一章

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「学校に来いよ」 「簡単に言わないで!来れるものなら来たいよ…でもね…でもだめなんだよ…まだ傷が癒えないんだよ…悟と一緒にいた学校にいると…思い出したくないことばかり…頭の中に浮かんできちゃうの…もう悟は…この世にいないのに」 "悟はこの世にいない" ひかりは自らの言葉で、改めて思い知った。 「…でも桜井は、前に進みたいんだろ?」 「…前に?」 祥司はうなずいた。 「過去に縛られてたら、いつまでたっても前には進めないぞ!」 「進んでるよ…頑張ってる。でも過去は忘れられない。お父さんやお母さん、悟のことを思うと…笑っちゃいけない気がするんだもん」 ひかりは小声でつぶやいた。
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