第一章

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「元気出せよ」 「………え?」 日記帳を見られたことがあまりにショックなひかりは、涙があふれていた。 「人が死ぬってこと…俺はまだ大切な人を失ったことがないから、よくわからない。だけど、それに書いてることが事実なら、俺は間違ってると思う」 「……間違ってる?」 ひかりは眉間にしわを寄せた。 どうやら男子生徒は、同じクラスの氷川祥司のようだ。 「両親や最愛の人を失って、茫然と立ち尽くしてるなら、困惑して先が見えないなら、それならとにかく前に進めよ」 祥司の言葉が、ひかりの心を大きく揺さ振った。
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