第一章

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「あたし…進んでるよ?」 「桜井は進むことの意味を取り違えてる。ただ1人で閉じこもってるだけじゃ未来は開けないぞ」 祥司は続けた。 「桜井が不登校になり始めて、ずっと不思議に思ってた。桜井はバカみたいに明るくて、誰彼かまわず皆に優しい。男女ともに人望も厚くて、嫌われるタイプじゃない。桜井が教室から消えて、まるで太陽がなくなったみたいに静かになった。だからこそ、不登校が謎だったんだよ」 確かに不登校前のひかりは、クラスのムードメーカー的存在で、友達は多かった。 不登校になりはじめた当初は、クラスメイトからの心配のメールで携帯は鳴り止まなかった。
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