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「俺は食べ物じゃないんだけど?」
「俺以外の人にチョコみたいな声で話さないでよ…」
特にチャンミンを甘やかしたつもりはないのだけど、この寂しがり屋でヤキモチ焼きの恋人には許せなかったらしく。
機嫌を直させようと髪を優しく撫でてみるが、効果は薄いようでなかなか顔を上げてくれない。
「ユチョン」
「…………」
「…ユチョナ」
「なんだよ…」
思い切り気持ちを込めて名前を呼べば、漸く顔を上げてくれた。
白い頬を指の腹で撫で、そのまま唇の形をなぞると白かった顔が一気に色づいていく。
「キスしていい?」
「ダメって言っても意味ないくせに…」
笑いながら唇を重ねて、ふと思う。
チャンミンの持っていたチョコより、チョコのように甘い(らしい)俺の声より。
「……ユノ」
お前の唇の方がチョコよりも甘いんじゃないだろうかと。
この甘さを独り占めする俺は、チャンミンよりも子供なんだろうな。
あとでチャンミンに謝ろう。
END
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