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一
「課長。一昨日の件なのですが‥」
斎藤は目を丸くした。
「一昨日?」
卓は座ったままの斎藤の方へデスク越しに身を乗り出すと、声を顰(ひそ)めて言った。
「復讐代理の男のことです。あの後妻と相談したのですが、もう少し詳しく話を聞かせればと思いまして‥」
斎藤は目を大きく見開き、思わず声を張り上げた。
「依頼するのか!?」
その迫力に卓は少したじろいだ。
「いえ、まだ分かりません。
その……相手の素性も分かりませんし」
斎藤は落ち着きを取り戻して腕を組んだ。
「確かにな。私も人聞きの話だから面識はないんだ。よければその知人に話を聞いてみるかい?」
「いいんですか!?」
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