日常1 《黒猫亭の看板娘》

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ササノハは雄叫びを上げながら私に向かって飛び付きます。 そして私の背中にビタッと張り付くと楽しそうにユサユサと身体を揺らし始めました。 はい。まるで意味不明です。 彼はいつもそうなのです。 無駄なハイテンション、意味不明な行動。 しかし意味不明な行動をとる彼だからこそ、愛らしい。 彼は何も行動だけが特徴的な訳ではありません。 キジトラなのですが、身体の縞模様が笹の葉のような特徴的な柄なのです。 素人でも彼を見分けるのは至極、簡単でしょう。 「・・・おはようございます。ササノハ。今日も貴方は意味が分かりませんね。」 《にゃー!にゃっ!にゃっ!にゃー!》 「はい、はい。よく分かりませんがご機嫌なのですね。」 この他にもお寝坊さんの【キサラギ】と【ヒマワリ】がいますが・・・彼と彼女はまだ寝ているでしょう。 お寝坊さんが寝てる内にご飯を用意しなければ、これ以上子供達が張り付いてきたら歩くのすら困難ですからね。 下の階に降り、台所で子供達のご飯の用意をする。 それをプレイルーム・・・あぁ、普段はお客様と猫達が戯れる場所ですね。 そのプレイルームに運ぶ。 私の子供達はとても、お利口です。 張り付いた3匹は私を伺いながら《ご飯は?まだ?》問うように鳴きます。 「はい。どうぞ。慌てずにゆっくり食べなさい。」 《にゃー。》 《・・・にゃ。》 《にゃ!にゃぁぁー!にゃぁぁー!》 3匹は一斉に私から離れると自分の器に盛られた食事を美味しそうに食べ始めました。 ふふふ。 何と愛らしい。 毎朝、子供達を見る事が出来る私は何と幸福なのでしょう。
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