日常1 《黒猫亭の看板娘》

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さて、子供達が食事をしてる内に私は自分の身仕度をしましょう。 定休日と言えど、流石に寝間着姿で1日を過ごす訳にはいきません。 軽くシャワーを浴び、着替え。 着替えは白シャツにスラックス。 ・・・ふむ。今、思えば私はシャツとスラックスしか所持していません。 たまには違う服も購入を検討してみるのも良いかもしれません。 歯磨きをして、店のカウンターキッチンへ。 コーヒーミルに豆を入れ、ゆっくりと豆を挽く。 ここでのポイントはゆっくりと豆を挽き熱を加えぬ事。 熱はコーヒーの風味を落としたり、変色を招きます。 だからこそ丁寧に、愛情を込め・・・ ・・・【カラン。】 「こんにちわぁー。」 ・・・ん? 玄関に設置されたベルが小気味良い音を立てながら女性がひょっこりと顔を出す。 定休日に店に入れるのは鍵を持つ私と従業員の【志乃】さん。 まぁ、トトさんや鈴さんなどの例外もありますが・・・元、死神連中は姿を消せるので論外です。 彼女は【河野 志乃】さん。 うちの従業員で、私が不在の時は店を取り仕切ってもらっています。 私も多忙です。とても一人では店を運営出来ませんからね。 しかし、今日は志乃さんも休みのはずですが? 「おはようございます。志乃さん、まだ【こんにちわ。】は些か早いのでは?」 「相変わらず細かいね!うざっ!!」 ・・・彼女は満面の笑みですが・・・確実に最後のは悪口ですよね? 「・・・で?何をしに来たのですか?今日は休みですよね?」 「うん。クロさんのコーヒー飲みに来た!もうクロさんのコーヒー飲むと他のじゃ満足出来なくて・・・あっ!私、クロさんのじゃなきゃ満足出来なくて・・・ぽっ。」 「何故、わざわざ言い直したのですか?バカなのですか?あ、バカですね。早く発火してチリと消えれば良いのに。」 「ひどっ!ちょっとしたジョークじゃん!枯れたクロさんに養分をあげようとしただけじゃん!」 「貴女の養分などを貰い受けたら、それこそ土に還ってしまいます。」 「うおっ!そういうの乙女に言う!?」 「・・・乙女?」 「よーし!ブッ飛ばす!シッ!シッ!」
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