日常1 《黒猫亭の看板娘》

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ボクシングの真似をしながら空に向かってパンチを繰り出す志乃さん。 ・・・ふふっ。彼女も大分、明るくなりました。 昔とは見違えます。 「・・・なに、笑ってんのよ。」 「貴女の行動が低脳過ぎて。さて、そんな所で立ってないで座りなさい。コーヒーを飲みに来たのでしょう?朝食はとりましたか?」 「いや、まだだけど・・・出してくれんの!?」 「私もまだですから。1人分作るのも2人分作るのも同じ手間です。」 「やりぃ!クロさん優しいっ!」 ・・・元々、ご馳走になるつもりだったくせに。 白々しいですね。 「クロさんシェフ。メニューは何ですか?」 「トーストとハムエッグとサラダです。」 「むふふ~。良いですな♪良いのですな♪朝って感じがしますな~♪」 「先にコーヒーを。」 カウンターにコーヒーを置くと、それを美味しそうに飲む志乃さん。 それだけ美味しそうに飲まれると、嬉しいですね。 「あ~・・・うまいですな。ねぇ、何でクロさんはこんなに美味いコーヒー入れられんの?秘密の特訓とか!?豆も凄くこだわってるし。」 フライパンでハムを焼き、その上に卵を落とす。 軽く水を入れて蓋をする。 「えぇ。私のコーヒーは日本で一番美味しいでしょう。」 「うわぁ・・・自意識過剰ですなぁ。」 「しかし、これでは足りない。私は世界で一番美味しいコーヒーを入れられるようにならなければなりません。」 「目標、高っ!世界一とか!」 「えぇ。私のコーヒーが世界で有名になれば、必ず彼は私のコーヒーを飲みに来ますから。世界を宛もなく、噂頼りに捜索するよりは圧倒的に効率的だと思います。」
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