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「あー・・・ゴローさんか。」
「はい。今は各々が彼を探す努力をしています。私も元々は噂を頼りに南米を捜索していたんですよ。」
「・・・え?じゃあ・・・」
「はい。確かに今は豆を探す為に南米などに行きますが、元々はゴロー君を探す旅だったのです。豆はついでです。」
「ついでって。」
「しかし、彼は見つからない。その時に思ったのです。彼はコーヒー好き。そして我々が下界に移り住んでいる事を知らない。ならば教えれば良い。彼の好きなコーヒーを使ってね。そうすれば彼は必ず我々の元へ帰ってくるでしょう。」
「気の長い話ですなぁ。」
「時間は沢山ありますから。それに私のコーヒーを彼に飲ませて《うまっ!うまいっスよ!クロさん!》と唸らせてやりたいのです。私の夢です。」
「へー。何か良いなぁ・・・。」
「何がですか?」
「・・・こんなに大事に思われているゴローさんが・・・羨ましいなぁってね。」
「羨ましい?」
「あー。うん。人に大切に思われるって・・・凄い事だから。」
「私は志乃さんも大切ですよ?」
「・・・はっ!?」
「安心なさい。もし志乃さんが消えたら私が探しだして差し上げましょう。何処にいても必ず見つけだします。」
「ちょっ!?えっ!?はっ!?なに!?なに!?いきなり・・・えっ!?それって、どういう意味で・・・ええっ!?」
・・・何故、志乃さんは顔を紅潮させながら慌てふためいているのでしょう?
・・・ふふっ。
ちょっと面白いですね。
「志乃さんがいないと店番がいなくなってしまいます。」
「デスヨネー。」
今度は全てを悟った僧侶のような達観した表情。
その中に哀愁を感じます。
志乃さんは表情豊かで羨ましいですね。
「・・・クロさん、笑ってる?」
「えぇ。おそらく。」
「・・・その笑顔・・・こわっ!」
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