5154人が本棚に入れています
本棚に追加
・・・笑顔が怖い・・・。
ふふっ。懐かしいフレーズですね。
「私もゴローさんに会いたいな。会ってお礼を言いたいなぁ。」
・・・あぁ。そう言えば志乃さんも・・・。
ふふ。偶然とは面白いものです。
「大丈夫です。志乃さんが【黒猫亭】で働く限り、必ず会えますよ。」
「それ、遠回しに世界一は自分の物だ!って宣言に聞こえるんですが?」
「宣言ではありません。確定事項です。」
「自意識過剰もそこまでいくと頼もしいですな。」
お皿にサラダとハムエッグを盛る。
小麦色に焼けたトーストにバターを一欠片。
バターの溶ける良い香りが辺りに充満していきます。
「はい。どうぞ。」
「あっ!ありがとう!クロさん!」
志乃さんは嬉しそうにパンと卵を口に頬張る。
その満足そうな表情は私の心に暖かさを満たしていく。
作り手の喜びとは相手の喜んでくれる表情。
これでこそ作りがいがあると言うものです。
「そう言えば最近、繁盛してるよね。」
唐突に変わる女性の会話。
女性と言うのはコロコロと話題を変えます。
しかも、大体が全然違う話。
あぁ、誤解しないでください。
私はこの話題の変化はかなり好ましい。
会話を変化させる事によって、様々な話を堪能出来ますからね。
まるで気まぐれな猫のように愛らしいと思います。
「えぇ。志乃さんにもそうですが、子供達にも悪いと思っています。フル回転で頑張ってくれていますからね。」
「ササノハなんて、閉店間際とか疲れた声で《ふにゃー。》って言ってるもんね。最初は異常にハイテンションだけど。」
「・・・志乃さん。猫の物真似上手いですね。ササノハそっくりです。」
「えぇ。得意技です。」
最初のコメントを投稿しよう!