日常1 《黒猫亭の看板娘》

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「志乃さんは保健所よりペットショップの方が良いと?」 「違う!そうじゃない!」 「意味が分からないのですが?」 「クロさん。保健所の動物達を全部助けたいと思っちゃうでしょ?しかも上部だけじゃなくて・・・本当に助けたいって思うじゃない。でも出来ないから悔しそうに、悲しそうに1匹を選ぶじゃん!唇噛み締めて、拳を握るじゃん!それを見るのが嫌なの!!」 「では見なければ良いのでは?」 「はぁ!?何言ってんの!!?本気で怒るよ!!」 ・・・もう怒ってるようですが。 しかし何故、志乃さんはあんなに怒っているのでしょう?理解に苦しみますね。 しかし、志乃さんを不機嫌にしてしまったのは事実。私に不手際があったのでしょう。 「気分を害してしまいましたか?すいません。」 深く頭を下げる私に「違っ・・・そうじゃなくて・・。」と今度はシュンと小さくなる志乃さん。 彼女は本当に感情豊かですね。 理解に苦しむ事も多々ありますが、見ていて飽きません。 ですが、こうしている間にも時間が過ぎていきます。そろそろ行かねば・・・。 「志乃さん、申し訳ありませんが私が外出している間、子供達の面倒を見てくれませんか?まだお寝坊さんが2匹程いるので。」 「・・・はぁ。分かったよ。」 ・・・何故、今ため息をつかれたのでしょう? そして諦めたような表情をしているのでしょう? ・・・なるほど。 食後のデザートを出していないからですね。 トトさんなら食後のデザートを必ず要求してきますし。 「分かりました。帰りにケーキを買ってきます。」 「ぜんっぜん分かってない!早く行け!!バーカ!!」 ・・・志乃さんは難しい。 また怒らしてしまいました。 これは早々に逃げましょう。 戦略的撤退です。
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