日常1 《黒猫亭の看板娘》

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「・・・人じゃない?・・・幽霊、いや・・・死神ですか?」 「あはは。むしろクロさんの方が死神っぽいですよ?主に顔が。」 ・・・顔? 「あの主に顔がというのは、どういう意味ですか?」 「あの倉庫には保護している猫が一匹います。」 「あの、私の話を聞いていますか?顔と言うのは顔色の事ですか?」 「保護したのは良いんですけど・・・凄く狂暴で・・・捕まえるのが大変だったみたいです。」 「あの・・・。」 「センターに連れてきてケージに入れたんですけど、凄く暴れてケージから出ようとするんです。だからケージに体当たりして頭とかから血が出たり・・・でも手当てなんてとても・・・あ、何か言いました?」 ・・・絶対にわざとですよね? スルースキルMAXですよね? 「いえ。何でもありません。続きをどうぞ。」 「あまりに暴れるから他の動物も怯えちゃって・・・。だから使ってない倉庫に移動させました。後、ケージから出して段ボールに入れてます。暴れても怪我をしないように。」 「よく段ボールに移せましたね。」 「それが不思議な事に職員には引っ掻いたりしないんです。だから一度、捕まえれば攻撃はしてこないっていうか・・・。あ、もちろん異常な程に暴れるんですけどね。」 「・・・職員には?」 「はい。引っ掻かれたのは解体業者の人くらいで・・・。」 ・・・何故、ここに解体業者が出てくるのでしょう? まったく理解が出来ません。 どうやら尾野さん(仮名)は説明が得意ではないようです。 これは順序立てて聞く必要がありますね。
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